~2026年1月施行予定。AI活用に「人の判断」が必須に~
カリフォルニア州議会で、AIを活用した人事判断を規制する新法「No Robo Bosses法(SB 7)」が可決されました。ニューサム州知事が署名すれば、2026年1月1日から施行される予定です。
AIを使った採用・評価・解雇などの仕組みを導入している企業には、大きな影響を与える内容となっています。
【SB 7とは】
「AIによる自動判断だけで人事を決めてはいけない」という原則を明文化した法律です。正式には、Automated Decision Systems(ADS)=自動意思決定システムの利用を厳しく制限するもので、人事領域におけるAI活用を対象としています。
1. 規制対象となるADSの例
- 勤務態度のスコアリング
- 勤怠データを基にしたシフト自動割り当て
- メールやチャット内容の感情分析
- 研修後のスコアリング
- PC操作やパフォーマンスの自動監視ツール
2. 規制対象となる人事判断
以下のような、「従業員に実質的影響を与える人事上の判断」が含まれます。
- 採用、昇進、懲戒、解雇
- 評価、賃金、勤務時間、職務内容
- 研修を受ける機会、職務配分、健康・安全関連の決定
3. 禁止事項
AIのみで解雇・懲戒を決定すること
労働者の保護された属性(人種・性別など)を推定すること
労働者の権利行使を理由に不利益を与えること顧客評価を主な根拠として人事判断を行うこと通知していない目的でデータを収集すること
4. 人間による関与(Human in the loop)
AIが出した結果をそのまま使うのではなく、人間の管理職や審査担当者が最終判断を行う体制を整える必要があります。特に懲戒・解雇の決定には、必ず人による確認プロセスが求められます。
5. 通知義務(Notice Requirements)
6.
- 事前通知:ADSを人事判断に使う30日前までに、従業員や応募者に書面で通知。利用目的、使用するデータ、影響範囲などを明示。
- 事後通知:ADSを主要な判断材料として解雇・懲戒・アカウント停止を行った場合、決定の際に本人へ書面で通知。
7. 罰則
違反1件につき最大500ドルの民事制裁金が科される可能性があります。
ただし、従業員自身による直接訴訟はできず、州の公的機関が執行します。
【企業がとるべき対応策】
1. AIシステムの棚卸し
- 採用・評価・勤怠管理など、AIや自動化を使っている箇所を洗い出す。
2. 通知文書の準備
- 法律に沿った事前・事後通知の文書を法に沿って整備。平易な言葉で、多言語対応や電子配布の方法も検討。
3. 人による審査体制づくり
- システム基づく懲戒・解雇決定には「レビュー担当者」を設置し、判断基準や手順をマニュアル化しておくことが求められます
4. データ利用・バイアス監査
- AIが収集・利用するデータに偏りや不正確さがないか確認。
特に禁止されている属性(移民ステータス、宗教、信用情報など)が間接的に利用されていないか監査する。
5. 最新法規制動向のモニタリング
SB 7以外にも、AB 1018やプライバシー保護関連の規制(CCPA/CPRA改正案)が進行しています。複雑な規制環境となるため、最新動向を追い、弁護士や専門家に相談することが望まれます。
【最後に】
「No Robo Bosses法(SB 7)」は、カリフォルニア州におけるAI規制の大きな一歩であり、特に人事・労務分野でのAI活用に強い制約を課す内容です。
AIを活用した効率的な人事判断は、これまで生産性向上の鍵とされてきましたが、今後は「透明性」と「人の最終判断」が重視される時代になります。
SB 7の施行は2026年ですが、準備には時間がかかるケースも多いため、今から着手することが重要です。
AIツールを使っている企業は、「人間がどのように関与するか」を明確にする仕組みを整えておきましょう。
<参考>
https://www.fisherphillips.com/en/news-insights/california-set-to-restrict-ai-use-in-the-workplace-with-no-robo-bosses-act.htmlhttps://www.shrm.org/topics-tools/employment-law-compliance/ai-regulation-california-lawmaker-proposes-no-robo-bosses



















