組織の成果を左右する要素として、近年あらためて注目されているのが「協働(コラボレーション)」です。

McKinseyの調査では、協働が機能しているチームはそうでないチームと比べて最大25%高い生産性を示すとされています。

日本の調査でも、組織文化とチームワークの重要性が明らかになっています。

ALL DIFFERENT株式会社の中堅社員調査では、理想の職場文化として「チームワークを重視する文化」が最も多く選ばれました。

また、現在の会社で働き続けたいと考える社員ほど、自社にチームワークを重視する文化があると認識している傾向が確認されています。

一方で、多くの組織では協働の重要性は認識されているものの、それを仕組みとして実装できていない状況です。

個人目標管理や評価制度は整備されていても、チーム単位で目標や課題を対話する機会が十分に設けられていないケースが少なくありません。

個人目標中心マネジメントの限界

現実の仕事は、個人ではなくチーム単位で遂行されることがほとんどであるにもかかわらず、評価・報酬・マネジメントの多くが個人単位に偏っています。、このギャップが協働を阻害する一因になるとも指摘されています。

そこで有効なアプローチが、目標設定にチームでの協働要素を組み込むことです。

チームで目標や達成の方法を議論することで、

  • 共通の目的の明確化
  • メンバー間の相互理解促進
  • 個人では生まれにくいアイデア創出
  • 個人目標と組織目標の整合性向上

といった効果が期待できます。

重要なのは、この議論の場を単なる合意形成の場にするのではなく、自由な意見交換やブレインストーミングを重視した場として設計することです。

チームには「行動特性」がある

チームの協働を機能させる上で重要なのは、チームには個人とは異なる行動パターン(チームダイナミクス)が存在するという点を理解することです。

チーム行動特性は、主に以下の4つの側面で捉えらることができます。

  • コミュニケーション(形式的か非公式か)
  • 情報処理プロセス(分析重視か情報源重視か)
  • 意思決定(リーダー主導か合意形成か)
  • 実行スタイル(計画重視か柔軟対応か)

調査では91%の従業員が少なくとも1つの側面でチームとの不一致を感じていることが分かっています。

このギャップはストレスや業務の非効率の原因となり、結果としてチームパフォーマンスを低下させる可能性があります。

重要なのは、ギャップをなくすことではなく、こうした違いを認識し、お互いに調整できる力を高めることが求められます。

そのためには、個々の柔軟性を高めるスキルを育成することが求められます。

次のような取り組みが有効です。

  • オープンで率直な対話の促進
  • アクティブリスニングの実践
  • チームビルディングの機会創出
  • 「フィードバック」ではなく未来の成長に向けた「フィードフォワード」の活用
  • 定期的にチームミーティングの実施
  • チームとしての共通目標や成功イメージの言語化
  • 成功事例や課題を共有する時間の設定
  • 目標達成時にチームとして成果を認識・称賛する
  • チーム内で共通の学習機会を設ける

こうした小さな実践の積み重ねが、チームの柔軟性を高め、協働を支える組織文化の形成につながります。

VUCA*時代においては、個人の能力だけでなく、チームとして知識や経験を結集できる組織が競争力を持ちます。

目標設定の中に協働視点を組み込むことで、協働を推進する強制力を持たせることになります。それにより、組織の生産性と人材定着の双方を高める有効な一歩にもつながることが期待できます。

*Volatility変動性Uncertainty不確実性Complexity複雑性Ambiguity曖昧性の4つの単語の頭文字をとった言葉で、先行きが不透明で将来の予測が困難な状態を意味します


<参考>

Managers Can Add Collaboration to Goal-setting for Stronger Teams
https://www.shrm.org/topics-tools/news/add-collaboration-to-goal-setting-stronger-teams

Unlocking Team Potential: Effective Collaboration Overcomes Common Pitfalls
https://www.shrm.org/topics-tools/news/employee-relations/unlocking-team-potential-effective-collaboration-common-pitfalls

Promoting collaboration in the modern workplace: A path to productivity and resilience
https://journalwjarr.com/sites/default/files/fulltext_pdf/WJARR-2025-0343.pdf

【調査】中堅社員の”理想の職場文化” 1位は「チームワーク重視」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000224.000005749.html

【日本企業の国際的なチーム運営調査】海外で働く同僚との共同作業、日本の従業員の半数以上が「全くなし」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000112974.html