トランプ大統領は、U.S. Immigration and Customs Enforcement(ICE)の職員を1万人増員し、その多くを大都市圏に配置して、米国内に不法滞在する移民の送還を加速させる計画を示しています。
そして今月初めには、議会がこの取り締まりを支援するために、同局の予算を3倍以上に増額する法案を承認しました。
こうした動きは、米国内の企業にとっても大きな影響をもたらします。
ICEによる職場監査や強制執行が今後さらに増加し、企業として対応を誤れば、多額の罰金や企業イメージダウンの可能性があります。
そのため、ICEへの対応方法を再確認し、十分に準備しておくこと、さらに明確な移民ポリシーを策定・更新しておくことがこれまで以上に重要になっています。
なぜ今、ICE対応と移民ポリシーが必要なのか
- 取り締まりの強化と予測不能性
不法滞在者の送還を加速させるという政府方針のもと、ICEは突発的に監査や訪問を行う場合があります。現場では短時間での判断が求められ、事前準備の有無が対応の質を左右します。 - 企業としての説明責任
従業員や取引先、社会から「外国籍社員をどのように管理・支援しているのか」が問われる時代です。文書化されたポリシーを持つことで、説明責任を果たし、透明性を高められます。 - リスク軽減と従業員の安心
ルールが明確でないと、対応が属人的になり、トラブルや情報漏えいのリスクが高まります。ポリシーを整備し、研修を行うことで、全社的に統一された対応が可能になります。
ICE対応のために企業が今できること
1. I-9 Form管理体制の確立
- 担当者やチームの明確化
- 定期的な内部監査と外部専門家によるレビュー
- 合法文書と偽造の可能性がある文書を見分けるための研修
2. 法務顧問と連携した対応計画の策定
- ICE訪問の対応フローを策定
- 初動対応責任者や連絡体制を明確化
- 全社員へ簡易フローを共有
3. 研修とコミュニケーション体制の整備
- 人事・総務・受付・セキュリティなどへの定期研修
- 州ごとの法規制を踏まえた対応
移民ポリシーを持つことのメリット
- 社内外への「唯一の正しい情報源」として機能
HRやマネージャー、法務顧問、外部ベンダーも含め、全員が同じ基準で判断できます。 - 感情に左右されない客観的対応
トラブル発生時にも、文書化されたルールに基づき冷静に対応できます。 - 人事部の負担軽減
外国籍従業員からの繰り返しの質問対応を減らし、本来の業務に集中できます。 - 経営層への可視化と戦略性の向上
移民関連業務が経営課題として位置付けられ、必要なリソースや改善提案がしやすくなります。
最後に
米国の移民政策は、政権や情勢に応じて変化する可能性があります。しかし、どのような状況でも企業が一貫して合法的かつ適切に対応する体制を整えることは不可欠です。
今一度、ICE対応の備えと移民ポリシーの整備・見直しを進め、従業員と企業を守る体制を強化しましょう。
<参考>
To Staff Trump’s Immigration Crackdown, ICE Entices Its Retirees
https://www.nytimes.com/2025/07/18/us/ice-recruit-retiree.html
Immigration (ICE) Workplace Visit Preparedness Plan
https://www.shrm.org/topics-tools/tools/checklist/what-to-do-to-prepare-ice-workplace-visit
Why Every Workplace Needs to Document Its Immigration Policy Now
https://www.shrm.org/topics-tools/news/why-every-workplace-document-immigration-policy-now


